夜の9時ごろ…
私「ただいまー!お?今日も薪ストーブ上手に焚けてるやんか!」
妻「うん。今夜は寒いし空気全開にしてる!」
私「うーん、(薪全体に火が回ってるし、なんなら炭になってるような薪もけっこうあるしで)空気をちょっと絞ったほうがいいよ!」
妻「へ?何それ?空気が多いほうが炎が上がるしあったかいんちゃうの?」
薪に十分火がまわったら少し〜半分程度絞るべし!
休日の朝、朝7時ごろから薪ストーブをつけてから約2時間後、新しい薪を投入します。
新しい薪を投入したら空気調整ダイヤルを全開にします。
ネスターマーティンS43を使っているのですが、空気調ダイヤルは3段階+1以下って感じになっています。
このダイアル、3が最大になっています。
1以下は波線になっていますが、1まではスムーズにダイヤルがまわり、1付近からそれ以下はグーっと抵抗があります。
完全に空気を遮断しないためにそういう設計&構造になっているのでしょう。
みなさんの薪ストーブも大きく違うことはないかと思います。
大量に投入した場合、空気調整ダイヤルを全開にしても空気量が足りないことがあります。
そういうときはこのように少し扉を開けておきます。
焚きつけ時はほとんどこうしています。
ここでいう足りない、とは、
- 薪に火がつかない
ということ。
薪の表面が黒くなったり、薪のささくれ部分に火がついたりはするが火が薪全体にまわらないときは大体空気量が足りないと考えて良いと思います。
もしくは薪が濡れているか。冷たくてまだ燃焼温度に達していないか。
で、薪全体に火がまわり、薪ストーブ前に立って炎の温度をビンビンに感じられたら空気を絞ります。
ネスターマーティンでいえば2にします。
絞るというよりかは、炎で生まれる熱を逃さないためにシャッターを半開けするイメージですかね?
寒いガレージで石油ストーブを焚き、締め切ると寒いし危ないからシャッターを半分くらい開けとこうかっていう感じ。
うーむ微妙な説明ですねw
でもホントそういうかんじ。
炎の温度をビンビンに感じられるでしょう!
こうすることで巡航温度(黄色い帯域)上限まで温度が上がってくれましたよ!
多くの薪ストーブユーザーのみなさんもこういう感じで薪ストーブを運用されていると思います。
で、お次はさらに温度を上げていきますよ!
熾火になったらけっこう絞るべし!
熾火、というまではいきませんが、その手前まで来たのでもうちょっと空気を絞ります。
数値にして1.5というところでしょうか。
先ほども言いましたが、ネスターマーティンの空気調整ダイヤルは目盛1付近で抵抗が感じられるようになります。
抵抗が感じられるまで絞らないところが1.5というところ。
ちょっとだけ炎のゆらめきが穏やかになった気がしませんか?
このまま5分ほど放置してみると…
250℃くらいまで温度がグングン上昇していきました!
みなさんお気づきでしょうか?
- 空気を1.5に絞る前
- 1.5に絞った後
絞る前と後ではこれだけ温度が違います。
え?
ダイヤル2でももっと時間をかければここまで上がるのではないかですって?
はい、上がります。
ただ、時間はもっとかかりますし、その間に薪はどんどん燃えてなくなっていきます。
つまり、投入している薪の量が足りないと、温度はあがるどころか下がっていくんですね。
薪を追加投入することなく温度をあげるにはダイヤル1.5にして空気を絞ってあげる必要があるんです。
カラクリはこれ↓
- 入ってくる空気を絞ることで薪ストーブ内の熱を煙突から逃がしにくくする
ってことなんですよ!
ここで記事の題名「焚きつけ上手な妻でも勘違い!薪ストーブの空気調整についておさらいしよう!」ですが、要するに私の妻は上記のしくみを知らなかったってことなんです。
だから、炎をゴウゴウとあげるような運用をしてしまった。
熱を煙突から外に逃していた。
結果として薪ストーブの温度が上がらず、室温も上がらなかったっていうワケなんですね。
空気全開の薪ストーブはほとんど焚き火!そこでだ!暖炉と薪ストーブの歴史を見て空気調整を理解しよう!
引用元:pixabay
焚き火って良いですよね。
でも、家の中に焚き火は持ってこれない。しようとも思わない。
だから、人は暖炉を作った(開放型暖炉)。
引用元:pixabay
暖かく過ごすことができるようになった。
だが、暖炉は薪を大量に消費する。
大量に消費する割には暖かくない。
アメリカ独立宣言より30年ほど前の1742年。暖房効率を改良するためにベンジャミン・フランクリンが薪ストーブ(フランクリンストーブ、ペンシルバニア暖炉ともいわれる)を開発。
その薪ストーブとは…
扉の付いた鉄の箱に煙突が取り付けられた構造が薪ストーブの基本的な形態である。
暖炉や焚火との違いは、前者が空気の出入りが開放的であるのに比し、薪ストーブは密閉的であることである。
暖炉や焚火が燃焼に必要な空気の数十倍の量の空気を吸い込み排気するのに対し、薪ストーブは小さな空気の入り口を調整し燃焼に必要な空気を取り入れ、煙突からの排出も調整される。
そのため取り入れられる空気は燃焼に必要な量の2〜3倍に制限される。
前者がほぼ火そのものの輻射熱しか感じさせないのに対し、薪ストーブでは本体内の燃焼によって生じる熱を本体表面からの輻射熱や、本体周囲を対流する暖かい空気によっても部屋を暖めることができる。
薪ストーブには燃焼調整のために空気弁、煙突ダンパーといった機能が付与され、近年では燃焼効率や趣味性を上げたり、燃焼ガスの環境規制を通過するために、ガラス扉、二次燃焼、触媒、バッフル板などの機能が付与されるようになった[1]。
というもの。
赤字の部分と青字の部分を読めば薪ストーブがなんたるかをすぐに理解することができますよね。
そうなんです。
薪ストーブって、空気の出し入れが調整できるんです。
それが最大の特徴なんですね!
ベンジャミン・フランクリンってすごいことを考えましたよね。
ってか、それ以前に蒸気機関が発明されています。
ボイラーを加熱するためにまさか焚き火で温めていたわけではないでしょうし、ヒントは転がっていたのでしょう。
だが、従来の開放型暖炉に満足することなく薪ストーブを開発したってのがすごいです。
Wikipediaの内容に戻りますと、ヒントになるのが「薪ストーブは小さな空気の入り口を調整し燃焼に必要な空気を取り入れ、煙突からの排出も調整される」ってとこ。
いやいやもう読んだし。
ということでなく、「燃焼に必要な空気を取り入れ」ってところに注目していただきたい。
つまり、
- 新しい薪を燃焼させるために空気調整ダイヤルを全開にする
- 燃焼が軌道に乗ったらダイヤル2にする
- 熾火燃焼になったらダイヤルをさらに絞る。
って段階をさらに深く理解することができるんです。
つまり、1と2は分解燃焼 - Wikipediaが起こっており、木材が分解されて発生した大量の燃焼ガスを煙にせずに燃焼し切るために多くの空気が必要というわけ。
3については表面燃焼 - Wikipediaに移行しているため、熾の表面に必要な空気を供給するだけで良いため、分解燃焼時よりも少ない空気で燃焼を維持することができるってこと。
その調整が能動的にできる装置こそが薪ストーブってわけなんですね!
私を含め、みなさんも経験的に上記のことをふまえながら薪ストーブを運用しています。
薪という、灯油などと比べて不確かな燃料のためになかなか思うように燃焼させられない時はありますが、上記内容を理解できているのといないのとでは大きな違いになってくるはず!
実際に私の妻は空気調整ダイヤルを全開にして熱や燃焼ガスを大気に捨てていたわけですからね。
今回ちょっと長くなりましたが大事なことなんでさらえてみましたよ!
みなさんもかしこく楽しく薪ストーブライフを送りましょうね!
それでは以上です!
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